秘密列車の作曲合宿にうっかり参加したら地獄だった件(前編)
#前編 | 初日は飲める 初日は寝られる
秘密列車 秘密合宿2020レポート
2020.1.17(金）-19(日）
秘密列車の作曲合宿にうっかり参加したら地獄だった件(前編)
この10年間にほぼ毎年開催され、今年で8回目を数える秘密列車作曲合宿。
ここで多くのデモが生まれ、後に選ばれた数曲が改めて研磨されてからレコーディングという流れを皆さん大事にしていらっしゃいます。
筆者の私はバンドメンバーではないのですが、昨年はライナーノーツやインタビュー、ニューシングル「禁煙天国」のミックスといろいろご一緒したためか参加のお誘いを頂いたので、嫁と共におめおめと行って参りました。
本当におめおめと…ね。
事前に皆さんから「肉体的にも精神的にも相当キツイ」と聞かされてはいたものの、正直そこまで重く受け止めていませんでした。時を遡り、参加を承諾した自分を殴り倒したいです。
当記事である前半は初日の様子をお届け致します。
取材・文 :中村修人(Usual Name)
参加者
秘密列車: A(Vo,Gt)/T(Gt)/K(Dr)/Y(Ba)/F(Tp,Sax)/M子(Key)
ゲスト参加: 中村(Dr)←筆者/中村嫁(Key)
会場: 山中湖Sound Village
初日~立ちはだかる7万円罰金の壁
【到着&機材搬入】20:00~21:00
全員無事に山中湖スタジオに到着し、早速荷物を下ろしてちゃっちゃかと飲み会のセッティング。
しんしんと降り積もる外の雪が気になるところですが…まあ何とかなるべ。
【事前課題発表会】21:00~22:00
諸々の準備が完了しましたら、事前課題曲発表会という名の飲み会が始まります。
そもそも事前課題曲とは何なのか、説明させて頂きます。
メンバーのK氏曰く、
「事前課題曲のおかげで、脳が作曲モードに移行し合宿でスムーズに作業できるようになる。」
とのことで、いわば合宿に向けての準備体操の扱いですが…。
これでは個人の音楽性ガン無視じゃありませんかね。
例えば、ロックミュージシャンがボサノバを引き当てた場合でも何とかしてボサノバを作ってこなければならない。
ボーカリストでなくとも歌詞を書いて歌わなければならない。
録音機材を持っていない場合は購入して使えるようにならなければならない。
そこいらじゅう激高ハードルだらけですやん。
そしてやはり注目すべきは罰金の額。
払えば作らなくて済むなどと考えないよう高額に設定してあるそうで、その効果は絶大。
過去一度も罰金が発生したことはないそうです。
この罰金を避けるため、有給を取得してまで作業される方もいらっしゃるとか。(いらっしゃいました。)
そのかいあって今年も提出率100%にて迎えたこの発表会。
この時まで全員が自分の曲以外を聴いたことがなく、それを肴に酒を飲み、翌日に向けてテンション上げておこうという企画が事前課題曲発表会であります。
私ももちろん作らされました。
部外者とて例外ではないのです。
お題は“幻想的なFunk/”ワイン(歌詞テーマ)”。
どないせいっちゅうねん、こんなん。
ちゃんと提出できたので70000円の刑は既に免れていますが…。
あまりにもお題と異なる楽曲ですと“お題無視野郎”という、
不思議な妖怪みたいなレッテルを貼られることになりますので、まだ気は抜けません。
結果こうなりました↓がその評価は如何に…。
合格、頂きました。
「歌、上手いね。」「文句無し！」
と評価して下さり、無事に70000円の罰金は回避できました。
ありがとうWikipedia、ありがとうフェニキア人。
因みに私、ワインは一切飲みません、すみません。
では他の課題曲も聴いてみましょう。
僕のBANG BANG / F氏
お題:“かわいい”“シティポップ”“煙”
中村「紛れもなくハイクオリティなシティポップですが…かわいいですかね？」
F氏「何言ってんすか！そこかしこかわいいじゃないですか！ホラ、今のとことか！あ～かわいい！かわいいなー！！」
何としてでも“お題無視野郎“を襲名すまいという強固な姿勢に笑いを禁じ得ませんでした。
イエローワールド / A氏
お題:“狂った”“ダンス”“黄色”
中村「これ最高です！Remixしてみたいですね。」
A氏「じゃあやってこい。」
というやり取りがありました。
流石は秘密列車のメインボーカリスト。
曲のみならず声自体もカッコいい。
その他の事前課題曲(ダイジェスト)
フルバージョンはこちら
秘密列車Youtubeチャンネル ＞
こうして飲酒しつつ全員の曲を聴き終わり、しばし談笑した後、次なる恐怖の時間が幕を開けるのです。
【運命のクジ引き大会】22:00~22:30
事前課題曲と同様、合宿で制作する楽曲にもお題が課せられます。
秘密列車の作曲合宿に“自由に”とか“得意なのを”という言葉は存在しません。
全てはくじ引き次第、神のみぞ知るのです。
違うところは今回はチームで臨む点で、そのお題もチーム分けもここで決まります。
合宿システムをざっくり説明
先ず参加者8名をランダムに3セット計8チームに別ける
(Y氏が開発したランダム抽選プログラムによりチーム分け。従来はあみだくじだった。)
チームごとに、形容詞、ジャンル、歌詞テーマのそれぞれのくじを引きお題が決定。演奏パートや得意不得意は考慮されず、クジの結果に従うのみ
翌日朝食後から3チーム別々のスタジオに約3時間籠り、お題に沿った楽曲のデモを完成させる(これを2セット）
夕方から最後の1セットは4人ずつの2チームに別れて同じく約3時間内にデモを一曲完成(これを1セット）
合計して8曲が生み出されることになります。
さてさて…合宿初参加な上、完全部外者の私と組になってしまう気の毒な御方はどなたかな。
結果はこちら↓。
第一班:M子氏,中村
お題:“黒い”“Funk Rock”“ゴミ箱”
クジ引き大会の後、翌日に向けてセッティングをしつつ打ち合わせしたのですが、M子氏も作曲合宿は初参加とのことで完全未経験者チームになってしまいました。
M子氏が俺と同じく壮絶に不安そうだったので、私は可能な限り下準備をして明日に臨むことを決意しました。
そりゃあね、得意なジャンルでもない曲を約3時間で、お初の人とゼロから作らないといけないとあれば誰だって不安に圧し潰されるでしょう。
私は“黒い”“ゴミ箱”というテーマで〇〇〇〇のことしか考えられなくなっていましたので正直に「〇〇〇〇の歌にしようかと。」と申し上げましたら
「え～…それは何か嫌だな。」
とこれ以上ないくらい当然のリアクションを頂いたので考え直すことにしました。
第二班:T氏,中村嫁,中村
お題:“酔っ払った”“Balled”“夫婦”
嫁さんは鍵盤、T氏はギターとベースができますので「何とかなるだろう」と高を括ったチームです。
T氏の本職はデザイナーさんでして、お仕事でのタッグは何度かありますが、ミュージシャン同士としての共同作業は初めて。
とは言え、いつも上手に私を使って下さるので不安は一切ありませんでした。
嫁さんもとっとと歌詞を書き始めてるようでしたし、楽勝の予感。
第三班:Y氏,T氏,F氏,中村
お題:“ゆるやかな”“Folk Rock”“雪”
第二班以上に「多分やることないな。」と思いました。
Ba担当のY氏、Gt担当のT氏、歌も含め何でもできちゃうF氏。
何と言ってもお題そのものが秘密列車向きなので出る幕皆無の可能性が濃厚。
鼻糞掘ってりゃ終わるな、こりゃ。
A氏とK氏とは全く同じ組になれず残念でしたが、それもクジが決めたこと故いたしかたなし。
制作された楽曲と二日目～三日目の様子は合宿体験記後半にて公開します。
【翌日準備&就寝】22:30~0:00
「初日は楽しい。」
「初日は飲める。」
「初日は寝れる。」
メンバーの皆さんが口々に仰られた発言です。
たったこれだけの情報で、如何に合宿本番である明日が地獄か、十分過ぎるほど伝わるでしょう。
いよいよ明日、地獄の始まりです。
ご期待下さい。
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